Prussian Diamond Tiaraせっかくなので、前記事のスペイン王室が2代続けてウェディングティアラとして使ったプルシアンダイヤモンドティアラについて触れておくとしましょう。
このデザイン、上辺の月桂樹の葉、下辺の幾何学紋様(雷文)、間の列柱といい、いかにもギリシャちっくです。

元々は、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の一人娘、ヴィクトリア・ルイーズがドイツ帝国領邦の一つ、ブラウンシュヴァイク公国に1913年お嫁入りした時に父帝が持たせたものでした。
・・・あれ?この時点ではギリシャのギの字も出ませんが何故このデザイン?
これは思うに18世紀、ヨーロッパで起こった空前の古代ギリシャブームの産物だと思います。
はるか昔に存在した古代ギリシャへの憧れ(親ギリシャ主義)は、近代ギリシャのオスマントルコからの独立の一つの要因になったというウソのようなホントの話がありますが、政治思想だけでなく文化的にも「ギリシャ風」はブームだったと思われます。
とは言え、古代ギリシャと近代ギリシャは全くの別物になるわけですが。。。
近代ギリシャの独立は列強諸国がさんざん介入した上で行われ、君主制にしたのも、誰を君主にするかを決めたのも列強。ギリシャ国民は置き去りでした。
結果、ギリシャを治める王様はデンマーク人(初代はドイツ人)という意味不明なことに。
これではギリシャに王政が根付かなかったのも無理からぬことですわな。
(ただし国民側も王政を都合のいい時だけ利用した感があって、王室側もかなり振り回されてます。)まぁそんなこんなで、ヨーロッパではたくさんのギリシャ風ティアラが作られ、各地の王族に現在も受け継がれています。これはその一つというわけ。
で、もともとの出所がドイツだったことから、現在の呼称も「プルシアン~」として区別されてるわけですな。

そしてヴィクトリア・ルイーズの娘フレデリキが早速ギリシャ王室に嫁ぐことになるとは全くもって運命は奇なもの。
このティアラはさぞかし象徴的に用いられたのではないかと思います。

そして、ソフィア妃はこのフレデリキ王妃の娘なのです。
こうしてドイツ発ギリシャ風ティアラがスペインにやってくることになったのでした。