パラリンピックも無事終了しました。
録画し倒して、あれこれじっくり満喫。大満足でございました。
さて、今日取り上げるのはソチ五輪開閉会式でのプラカードのお姉ちゃんのコスチュームだ!(え、そこ?)


この印象的な頭部の飾りは「кокошник(ココーシュニク)」というロシアの古くからの民族衣装。
身分の上下に関係なく女性が用いていたもので、形も地域によっていろんなバリエーションがあるそうな。

ロシア宮廷内でも「いかにもロシア的なもの」として、形を変えながら取り入れられ続けました。
右はニコライ1世の皇后、アレクサンドラ・フョードロヴナ。

最終的にはティアラのデザインの型の一つとしての地位を確立します。
こちらはアレクサンドル3世皇后、マリア・フョードロヴナ。
彼女のこのティアラが他の王室にも影響を与え、同様のデザインのものが多く作られました。
その一つがイギリス王室の、その名も「Kokoshnik tiara (Alexandra's) 」。まんまだね。

「アレクサンドラの」とあるように、マリア皇后のものとは別物。
アレクサンドラはマリアのお姉ちゃんなのです。
あら、あなたのステキね、ってトコだったのかな。
(2人はデンマーク王女で、一人はイギリス王妃、一人はロシア皇后になったのだ。スゴイな。)いわゆる「フリンジティアラ」と称される多くのティアラもカテゴリ的にはココーシュニクデザインと言えるのでは。(日本の
「旭光」も分類すればここかも。)
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ところでロシアと中国が接する辺りからトルコ付近にかけては、たくさんの少数民族がいるけど、どこか装束文化が似てると思うのだ。特にヘッドドレスが特徴的。


左ロシア、右ウイグル。


左モンゴル、右ロシア。
実はこれらも全部、エリア違いのココーシュニクなのかもしれないね。
そういえば、映画『スターウォーズ』のアミダラの衣装もロシアやアジアの装束に着想を得たかな、と思うものだった。


左は孝賢純皇后(清・乾隆帝妃)。
帽子の飾り、ワンピースの襟元といいクリソツ。
この服装は清朝の礼服だけど、特徴的な襟は上でモンゴルと比較したロシアの装束(本来ココーシュニクはこの衣装と組み合わせて着用するらしい)とも似てるよね。

下は映画『ラストエンペラー』の1シーン。
これはもう「そのもの」でしょう。こちらも満州族の装束の一つ。

左の衣装は非常に日本の着物的。でもヘッドドレスはココーシュニクで異文化合体型ですな。
右の髪型はもう日本髪って言っていいんじゃない?


思えば大陸で流行ったココーシュニクも日本にはほとんど定着せず、地毛を結い上げてボリュームを出す感じになったんだねぇ。(李氏朝鮮のヘアスタイルもそうよね。)
空気の乾湿具合とか、騎上の生活がどの程度多いかにもよるのかもしれないと想像。
民族衣装ってかなり奥が深くて興味が尽きないっす。